知らないと致命的な2種類の翻訳方法~英和辞典と英英辞典の決定的な違い~

知らないと致命的な2種類の翻訳方法~英和辞典と英英辞典の決定的な違い~

 英語多読では英英辞典の使用を推奨され、英和辞典の使用は推奨されません。これは、英英辞典が英語で書かれているのに対し、英和辞典が日本語で書かれているからという理由と正確性という理由からです。英英辞典と和英辞典の間には、明確に異なる特性があります。それは英和辞典がWord to Word(1語を同じ意味を持つ別の1語に置き換える)であるのに対し、英英辞典はWord to Meaning(1語を同じ意味を持つ文章に置き換える)であることです。

例を見てみましょう。

Bird→鳥(Word to Word)
Bird→くちばしがあり、二枚の羽をもち、空を飛んで、さえずる生き物(Word to Meaning)

どうでしょうか?どちらも同じものを連想するのではないでしょうか?

Word to Wordの弱点
 Word to Wordの方式には弱点があります。それは、翻訳をしてみるとわかるのですが、適切な日本語の語がなく、辞書の通りに訳すとぎこちない訳文になったり、正確性が失われることです。見落とされがちですが、日本語と英語で同じ意味合いの単語を選んでも、そのニュアンスが完全に一致していない場合があります。こういう場合は、Word to Wordの翻訳では、原文で伝えたいことを正確に伝えられません。なのでWord to Meaningの翻訳を織り交ぜる必要が出てきます。また、『(身体的な)障害の英訳ってハンディキャップでよかったっけ?』って聞かれたとき、『ネイティブの人って障害はdisabilityとかdifficultyって言葉使わない?handicapって見たことないけど』というところから始まり、handicapの意味を調べていくと、『弱者からみた上位への者との差という意味合いを含み、差別的な意味合いととられることから、ネイティブの人は使わない』ということがわかったりしたこともあります。

Word to Meaningの弱点
 Word to Meaningの訳には、弱点があります。それは、複雑なものや名前です。例えば、hippopotamusという単語があったとします。これは英英辞典では何か動物であることはわかるのですが、カバだとはわからないことがあります。いや、写真が載っていればカバだとはわかるかもしれません。でも、カバって、色々な種類がありますよね?カバの品種まで知りたいときには、和名に結び付けないと理解できない場面がでてきます。こういった場合は、英和辞典の方が役に立ちます。また、法律上や会計の用語といったものは、Word to Meaningでは難しくなってしまい、すでに知っている日本語の専門用語に置き換えた方が理解しやすい場面が多いです。

英語多読ではWord to Meaningで単語をたくさん覚えられる
 英語多読で身につくのは、Word to Meaningでの解釈です。ときおり、『この単語どういう意味だっけ?』って聞かれたとき、『こうこうこういう場面で使われるよね。こういう意味だと思う。』という言葉が出てきます。また、Word to Wordの弱点とところで挙げたhandicapの話も、英語多読をしていたからこそ、気が付いたことでした。

 私の考えでは、Word to Wordの翻訳も、Word to Meaningの翻訳もどちらも必要な場面があります。しかし、Word to Wordで単語の意味だけを覚えて、英語多読をしないというスタイルは非常に危ういと考えています。しかし、その一方で、Word to Wordなしでは、むしろわかりにくくなってしまう場面もあります。必要に応じて、使い分ける柔軟さが必要なのではないでしょうか?


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