YL鈍感症について

YL鈍感症について

 YL鈍感症とは、からせみが英語多読実践者の多く(からせみ自身も含めて)に見い出して来た症状です。名前通り、英語多読中にYLの高低を感じられなくなる症状です。ここでは、どんな人がYL鈍感症になるのか、YL鈍感症ではどんな問題が起きるのか、YL鈍感症を治す方法について書かせていただきます。

【YL鈍感症を発症する2つのタイプ】
1.英語多読を始めたばかりの人
 何らかの形で英語学習をした経験があり、辞書が手放せないタイプの英語多読初心者に多いです。 論文や試験問題のように複雑な構文で書かれた文章を見慣れていて、そもそも簡単な文章を読んだ経験がない人に多いです。このタイプの人は辞書を片手に実力以上のYLの本を次々に読んでいってしまいます。からせみも経験があります。

2.日本語に訳さずに英文を読めるようになった人
 英語多読に慣れ、英文を日本語に訳さずに読めるようになった頃にYL鈍感症を発症する人も多いです。辞書を使えば難しい本を読めることに気がつき、YL3からYL5以上に飛躍したりします。最初は意味の理解ができていて、『読めている』といいますが、徐々に失速していくのが特徴です。こちらもからせみは経験しています。

【YL鈍感症による実害】
 YLに意識を払えないと、どんな問題が起きるでしょうか?

1.成長速度の低下
 適切なYLよりも高いYLの本を読み続けると、早く成長しそうな気がしますよね?でも、経験的には辞書を引く時間が圧倒的に長くなったり、集中して読める時間が短く理解度が下がり、頻出単語以外の単語の割合が増えたりで、むしろ成長が遅くなります。英語多読における成長は、①読了語数、②理解度の高さ、③基本の頻出単語の習得にあるとされているため、この三要素がすべて損なわれるためだと考えられます。

2.継続力と楽しさの低下
 YLが高い本を読むとき、YLが感じられる人であれば『この本は自分にはレベルが高い』と感じ取って本を投げることができます。しかしYL鈍感症の人は、自分で自覚できない負担を背負いながら実力以上のレベルの本を読み続けてしまいます。なので心をすり減らしてしまい、英語多読がつまらない、つらいと感じてしまいます。そうなると、読み続けるのが困難になってしまいます。負担が大きいと、当然、休息期間も長くなります。

3.読書速度の低下
 YL鈍感症の人は、1冊の本を読み終わるまでに長い時間を要します。適切なYLを読んでいる人が1週間で15000語を読むとしたら、YL鈍感症の人は、5000語も読まないというくらい、場合によってそれ以上の差が出るのを見たことがあります。適切なYLの本を読んでいる人は、次から次へと新しい洋書を読んでいくのに対して、YL鈍感症の人はペースが非常に遅く、はやりの洋書の話題にものっかりにくいという問題がでてきます。

【YL鈍感症はどうやったら治るのか?】
 YL鈍感症を治すにはどうしたらよいでしょうか?それは、YLの低い本をとにかくたくさん読みまくることです。
 最初にからせみはYL鈍感症を患っていました。英語多読の講師に頼らず、中学高校の教科書を通して勉強したあとで辞書を片手に20万語ほどMagic Tree HouseやGR(レベル無視で興味のあるもの)を読んだ時期がありました。 それから数年のブランクの後、講師の先生に指導を受けたとき『Magic Tree Houseは難しいよ』といわれ、GRも下のレベルから順に挑戦したほうが良いと指導されました。 それに従ってGRや児童書を読んでいったところ、YLが1上がるだけでこれほど読みにくくなるのかと驚きました。読みにくさが瞬時にわかれば、YL鈍感症は消えてなくなります。 また、英語多読に慣れたころに、やはり電子辞書を片手に実力以上のYLの本を読んでいた時期がありました。その頃はYL5.5の本から、YL7台の本に飛躍していましたが、難しいという実感はほとんどありませんでした。しかし、すぐに続けるのがつらくなってしまいました。こういった、慣れた頃に出るYL鈍感性は、いったん英語多読から距離を置いてみることで自然治癒します。長期間英文とばかり向き合っていると、苦しいのにも鈍感になってしまいます。なので多聴多観の初歩に挑戦してみたり、休日を楽しんだりして、文字からちょっと距離をとってみましょう。少し期間を開けて読むと、YLに対する正常な感覚が戻って来るでしょう。

 YLは非常に参考になる数値です。英文を読んで大雑把にでもYLを自分で判断できる状態が望ましいです。YLは厳密な判断基準がある数値ではありませんが、読んだ人に8段階評価で読みやすさを判断してもらうのって、有効な方法だと思いませんか?可能であれば、YLは積極的に利用しましょう。




読める!読めるぞー!
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