からせみは1000万語以上の英文を読んできた経験から、英文の速読には二つのアプローチがあると考えています。一つは、英語には漢字がないために、日本語よりも目線を早く動かして読む言語であるということ。もう一つは、単語の意味を認識できる時間が短縮される4段階の変化があることです。これら二つのアプローチを組み合わせることで英文を読む速さ(wpm)のアップにつながります。今回はその二つのアプローチについて説明します。
【アプローチ1:洋書では和書より目線を早く動かすことについて】
1.和書と洋書でなぜ目の動きが変わるのか?
洋書読みにかなり慣れているからせみの経験では、和書を読む時より、洋書を読んでいる時の方がかなり速く目線を動かしています。体感で倍速くらい差があるのではないでしょうか?なぜ、洋書の方が目線が速く動くのか?その原因は簡単で、漢字にあります。
2.漢字の読み方と英単語の読み方の違い
日本語には漢字があります。漢字には意味が凝縮されています。なので、1文字1文字を見落とさないように、スーッとなめらかに視線が流れていきます。英語の場合はどうでしょうか?英語は漢字がない分、単語一つ一つをカタマリと見ながら視線がぴょんぴょんと次の単語へとジャンプしていきます。先程、からせみの体感で和書と洋書では目線の動く速さが倍ほども違うと書きましたが、AIに聞いてみると、和書の読書速度は秒速10cm~20cm、洋書では秒速20cm~30cmという回答が返ってきますので、倍速というからせみの体感は割と的を得ていると感じます。
3.なぜ英語の速読が必要になるか?
英語多読を始めたり、TOEICでも、とにかく最初は英文を速く読んでも意味が取れるようにする訓練から始まります。それは、ここまでで書いた倍速近い目線の動きを身につけるという工程が必要になるからです。しかし、問題はそれだけではありません。日本語は漢字がある分、1文字1文字の意味が凝縮されているように思えますがひらがなの部分はそうではありません。極端に言えば、英語は単語一つ一つが漢字に相当するため、日本語より長さ単位の意味の凝縮率は高いです。実際、洋書では1冊で出版されてた本も、日本語翻訳版では厚さの都合で上下巻に別れること珍しくありません。つまり、目線は速く動いてて、かつ頭にインプットされる情報も並行して増えるわけで、慣れて処理能力をあげないと頭がオーバーヒートするのです。さらに英語は日本語に比べて母音の数が極端に少ないためすごく早口です。洋楽が好きな人なんかは、歌詞を翻訳したら訳文が原文と比較にならない位に長くなった経験があることでしょう。初学者はこの、英語は日本語より【目線速い+内容が凝縮+言葉が短くて速い】の3重の試練を乗り越えていかなくてはいけないのです。
【アプローチ2:単語の意味を認識する方法の4段階】
脳が単語を処理する四つの方法
単語認識には、次にあげる4つの方法があります。このそれらの方法の特徴と、読む速度の速さをまとめます。
| ①アルファベットだけで認識する(速度+) | 単語の発音がまったく分からない、アルファベットの組み合わせでのみ単語を認識している状態です。単語をエービーシーと読むため音声量が多くなり、記憶の検索に非常に長い時間がかかります。 |
| ②フォニックス読みができる(速度++) | アルファベットの発音の予測がかなりできる状態です。エービーシー読みと比べて音声量が少なく、英文を読む速度がかなりこうじょうします。 |
| ③音声の記憶が瞬時に引き出せる(速度+++) | 実際の発音を聞いたり口にしたことがあり、音声が記憶に定着している状態です。文字を目で追って音に置き換えるより、記憶にある音声を思い出した方が読む速度が速いです。 |
| ④画像認識(速度++++) | 音による単語の判別を超越した、画像記憶による単語の判別です。例えばGood morningという言葉はかなりの文字数がありますが、見た瞬間に意味がパッと頭に浮かぶはずです。これは、脳がこの文字列のパターンに慣れていて、視界に入った瞬間に意味をとらえられるようになっています。脳内音声のない黙読がこれに当たります。 |
英語多読を続けて、読んだ語数が蓄積すると、だんだん②と④の比率が増えて行きます。しかし、英語多読だけでは③が伸びないので、読む速度は頭打ちになってしまいます。そこに多聴を加えると、③が増えてくるので、読むのが速くなってきます。
一番速いのは④ですが、これは『鳥』と『烏』という漢字をみたとき、漢字の画数を確認することなく『とり』と『からす』瞬時に区別がつくのと同じだと考えています(なお、熟練によるものだけではなく、文脈からの意味の判断も④が働くきっかけになります)。いわゆる『速読』の技術は、文章をこの④の読む方で読む方法だと考えています。
wpmをはやくするにはどうしたらいいか?と考えると、結局のところ英語多読でたくさんの英単語を見慣れて、多聴で聞きなれるのが一番王道だと考えられます。速読の技術や訓練方法はいくつかあると思いますが、まずは読むのも聞くのも量をこなして、頭の中の処理が自動化されるのが一番大切だと考えています。人により伸び方は違いますが、量をこなしているうちに確実に速くなっていきますので、どんどん英語多読と英語多聴を続けましょう!
容赦ないネイティブスピードに慣れるには
からせみは英語多読は幼児に退行して言葉を再獲得する技術だと考えています。だから、最初は自分の心地よい速度で、なるべく簡単な洋書を読むようにします。そして、余裕が出てきたら対象年齢の高い本に切り替えていく。この手順を踏んでいけば、いつかは必ずネイティブスピードにだって対応できるようになります。リスニングだって同じやり方でいつかできるようになります。焦りは成長を邪魔してしまう事が多いので、リラックスしてできることから順にやって行きましょう。世の中には色々な速読法があるようですが、基本は今回挙げた二つのアプローチが基礎になると考えています。まずはこの二つのアプローチを意識して、英文を読んでいきましょう!

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この記事の著者【からせみ】について:
英語多読1000万語達成済み。身長の3倍の高さに相当する量の洋書を読破。最初は英語が全くダメで学生時代は勉強をサボってゲームばかりしていた経歴の持ち主だが、現在はバリバリ洋書を読みまくる英語クラスタの一員である。洋書で心理学の勉強をしており、優秀な人から英語が苦手な人まで、色んな人の悩みに寄り添えるよう日々努力しています。地元にある英語多読クラブの副代表もつとめています。