英語多読は従来の英語学習法の常識を無視した方法を採用しています。なので、英語多読の実践方法を聞いた人は『本当にそれで大丈夫なの?』という不安を抱きます。今回はこれらの不安についてからせみが一つ一つ説明をさせていただきます。
1.精読はしなくていいの?
英語多読では精読という、英文法にのっとった文章分解をしつつの和訳作業を行いません。昔の英語の授業では精読は重要な学習方法があり、テストにも和訳問題が必ず出題されました。精読をしないと不安になる理由は、『精読しないと正確に意味を理解できているか不安になる』というものです。確かに一理ありますね。なぜ、英語多読では精読を行わないか?まず一つは、精読は非常に時間がかかる作業で、普通に読むのの10倍近い時間を使うのが普通です。これでは、時間と労力の関係で、分厚い洋書を読むのが難しいです。二番目の精読をしない理由は、精読は日本語に置き換えて日本語脳で文章を解読する方法だからです。私たちが日本語の文章を解析せずに理解できるのは何故でしょうか?日本語も文法があり、複雑な規則を持っています。しかし、私たちの脳は日本語に順応しているので日本語の言葉の順序で同時通訳のように意味を理解することができます。もう一度話を戻して、英語多読では英文を精読しないのはなぜでしょうか?それは、精読をしないことによって英語の語順や文法に順応して、英語の語順のまま読んで理解できるよう、脳に英文を刷り込むためです。英語を英語の語順のままで理解することは、ネイティブスピードに対応するために必須のスキルであり、そこは慣れていくことが必須だからです。精読をやめるのは自転車の補助輪を外すようなものだと考えてください。とはいえ、非常に複雑な文章に遭遇したら、ベテランでも精読モードに頭が切り替わります。だから、最初はなるべく簡単な英文を精読に頼らず理解できるようにしていくといいでしょう。
2.文法はやらなくていいの?
英語多読では文法学習をしません!と言いたいところですが、英語で書かれた英語の文法書は読んでもいいことになっています。とくにビジネス英語なんかは、ちゃんと教科書を一冊買って勉強しないと、英語でお仕事をするのに支障がでてしまいます。と、話がいきなり脱線してますね。もちろん、英語多読のクラブに入った人たちは、文法学習をせずに簡単な洋書を読み始めます。本当に読めるのか?と疑問に思えるかもしれませんが、読めます!何故読めるのか?それは、皆さんが中学高校で受けてきた英語の授業で、英語の多読に必要な文法、たとえばisとかhaveとかbeenとかをおぼろげながらでも覚えているからです。ぼんやりとした記憶でも、文脈も挿絵もあってテストのようなひっかけもない状況では、きちんと正確に機能してくれますし、一度は覚えたものですから、ちょっと調べれば学生時代なんかとは比較にならないくらい簡単に意味を理解できます。結果的に英語多読は従来の学校英語の成果にただ乗りをできているという状況はあります。じゃあ、まだ学校に行っていない子供が英語多読を始めるとどうなるのか?文法がわからず苦労するらしいです。でも、おやごさんが幼児にくっついて、単語を一つ一つ指さしたり身振り手振りジェスチャーをしながら解読を誘導していくうちに理解できるようになります。もちろん、文法用語はわからないままでしょう。複雑な文法もわかりません。でも、理解できるようになります。ちなみに洋書は非常にシンプルな英語で書かれています。中学英語レベルの文法をふわっと理解していたら、かなり高度な洋書でも文法に苦労せずに読めることでしょう(ごくまれに特殊な用法が出てきますが、そこは『わからなかったらとばす』をしても、内容はしっかり理解できてしまいます)。ようするに、洋書を読むには、毎日何時間も文法書を開いて知識を頭に叩き込まなければいけないほど、文法の知識は要求されません。文法が必要になる場面はあるけれど、TOEIC800点台の人が読むのに苦労するような洋書でも中学程度の文法を知っていれば読めてしまうということを覚えていてください。とはいえ、論文やTimeやEconomistのような高度な資料を読みたいのであれば、文法を知っているに越したことはないでしょう。でも、過剰に文法に偏重した学習は、実際の英文を読むために必要な時間とモチベーションを削ります。なので、文法学習をするとしても、必要に応じて必要な分だけ、という程度で構わないと考えています。

赤点とって補習受けさせられる夢、ときどき見ますよね。
この記事の著者【からせみ】について:
英語多読1000万語達成済み。身長の3倍の高さに相当する量の洋書を読破。最初は英語が全くダメで学生時代は勉強をサボってゲームばかりしていた経歴の持ち主だが、現在はバリバリ洋書を読みまくる英語クラスタの一員である。洋書で心理学の勉強をしており、優秀な人から英語が苦手な人まで、色んな人の悩みに寄り添えるよう日々努力しています。地元にある英語多読クラブの副代表もつとめています。